「30代が聴くロック〜やっぱ自分の踊り方で踊ればいいんだよ〜」
第1回「アナーキー/アナーキー」
02/12/02 at 薩本家
お:大根仁
さ:薩本紀之(広尾のロック花屋「温花家」社長)
嫁:薩本嫁
お「まーそのあれね、色んなアルバムを遡って検証と思い出を語っていこう行こうというね。・・・大丈夫
さ「大丈夫・・・。大根が急に人間変わっちゃうからさ。いいんだろ?バカ話で?」
お「いや、いいんんだよ。俺は冷静の方がいいじゃん。なるべく」
さ「うん」
お「じゃあ記念すべき第1回は「アナーキー」ですよ」
さ「うん」
お「78年リリースなんだよこれ。ビクターインビテーション」
さ「俺がね、小学校高学年の時にはもうあったよ」
お「俺ら68年生まれだから・・・えーっと・・・10歳11歳くらいの時でしょ?」
さ「うん」
お「アナーキーってさ、バンド名の由来がピストルズの「アナーキー・イン・ザ・UK」から取っててさ、そのまんまな感じだよね。「アナーキー・イン・ザ・UK」って77年だからさ。で、もう78年にはレコードがリリースされてるっていうのはすごい早いんだよね」
さ「でもよ「ジョニー・B・グッド」で「ジョニーも昔は良かったけれど今じゃ俺達アナーキー」って歌っててさ、この「ジョニー」って「ジョニー・ロットン」の事なんだよね」
お「そうそう」
さ「もう飽きてんだよ」
お「78年の段階でもう飽きてるっていう」
さ「うん」
お「全員同い年なんでしょ?確か?」
さ「そうそう。和光市のさ」
お「60年産まれなんだよね」
さ「8歳の時か?俺ら産まれたの」
お「そうそう。17、8くらいでリリースしてたんだよ。今のスピードで考えても早いよね?それは」
さ「うん」
お「いつ聴いたの?初めて」
さ「最初は小学校の時聴いたよ。それであのー・・・中学入って「銀蠅」とかはやってたでしょ?その時ねえ友達がなんか「だせえよ銀蠅、銀蠅じゃねえよ。アナーキーだよ」つうのがあって。でもよお、買ってねえんだよなこれ。ファーストの音源っつうのがなかなか手に入んなかったんだよ」
お「俺はねえ中1位の時にねえ、1コ上にワタナベシンヤっていう先輩がいてさ、ハザマっていう所に住んでて「俺、ハザマのアナーキーだから」って常日頃言ってて、その人があれに似てんだよ、ドラムの・・・何だっけ?」
さ「コバン?」
お「そうそう小林。すんごいそっくりで、まあ確かに「ハザマのアナーキー」っていうのもあながち・・・」
さ「コバン、ヤンキー顔だもん」
お「その人が持ってきてくれて、それをみんなで聴きまわしてったっていうね」
さ「俺はね、先にこっちから聴いてんだよね。「'80維新」から」
お「何が入ってんだっけ?それ?・・・あー「叫んでやるぜ」とかね」
さ「そんでファースト「アナーキー」っていうのもあるのは知ってたんだけど、もうすでに発売禁止になってたから・・・」
お「そうか、発売禁止になってんだよね?」
さ「そうそう。で、どうしても欲しくて船橋東武のレコード屋さん行って注文したら「もう入りません、発売禁止です」って言われて・・・で、これを手に入れたのは高校入って、またなんだけど船橋東武の催事場でやってる中古レコード市っていうので1200円で売ってたんだよこれが。当時もう30.000円位してたんじゃないかなあ。「えっ!マジ?」って」
お「え?これって再発したの?」
さ「してないしてない。今、CDでは売ってるんだけど」
お「え?じゃあ、このアナログは今でも高いの?」
さ「んーとね、一時40.000円位で売ってるのは見たことあるんだけど、この間Yahooオークションで見たらもう4000円位になっててさ・・・。何回も売ろう売ろうと思ったんだけど「まだ上がる上がる」と思ってたら下りやがってさぁ・・・」
お「ピークはもう過ぎちゃったんだ?」
さ「うん。で、再発のCDも「東京・イズ・バーニング」だけはカットされてるんだよね」
お「あーそうなんだ。なんかさあ、そういう音楽的なものよりさあ、そういうところが取り沙汰されてたよねえ。「なーにが日本の○○○だー」みたいなさあ。これ「象徴だー」でしょ?」
さ「そうそう。で、次がさあ「梅干し殿下」ですよ」
お「そうそう、こっちの方ばっか言われててさあ・・・中学生の心にはねえ・・・」
さ「ラストの「アナーキー」っていう曲も「ビー」入ってんだよね。「東京・イズ・バーニング」ばっか言われてるけどさ」
お「「俺達ゃこんな汚ねえ○○なんてぶっ潰したいのさ」・・・」
さ「「政治家」じゃないかな」
お「んー・・・」
さ「よく聴くと最初の「せ」くらい入ってるよ」
お「あー。でもさあ、なんかすごい早いのにさあビジュアルがこの暴走族のまんまっつうのがさあ・・・」
さ「ヤンキーなんだからしょうがないんじゃないの?」
お「パーマだもんなあ」
さ「「パンク」・・・?「パンク」じゃあねえよなあ。「アナーキーはパンク」とか言われてっけどさあ」
お「そうそう、パンクじゃないよねえ」
さ「別に革ジャン、鋲ベルトじゃないしさあ・・・いわゆる「パンク」じゃ無えよなあ」
お「気持ちだけね」
さ「そう、気持ちがパンク。1番大事な所ね「気持ちがパンク」」
お「国鉄の作業着だよね」
さ「僕ねえ友達のお姉さんから貰いました」
お「何を?」
さ「作業着と腕章。関君の家初めて遊びに行った時、関君が「薩本、これやるよ」なんつってさあ・・・そしたら向こうの部屋で姉ちゃんが「ヒロシっ!あんた何やってんのっ!勝手にっ!」ってさあ・・・。あと、姉ちゃんとシゲルが一緒に写ってる写真とか見せてもらってさあ・・・」
お「オマエその腕章、エレカシの最初の客電渋公の時してきたよねえ・・・何でエレカシでアナーキーなの?」
さ「いやある意味パンクですよ、どちらも。「気持ち」」
お「「気持ち」としてね。だからシゲルがもうちょっとカッコ良かったらもっと売れたような気がするんだよね」
さ「俺ずっと「マリ」がボーカルだと思ってたもん」
お「そうそう俺もそう思ってた、最初」
さ「写真だけ見たらね」
お「小っちぇえんだよな、なんかみんな・・・・・オメエ普通に喋れよもっとっ!」
さ「普通に喋ってんじゃんっ!・・・何かすげえプレッシャーかかってんだよなあ・・・」
お「で・・・マリっつうのはあれだよね、「辺見」っつう名字だけっつうので・・・」
さ「そうそう。後に「パーソンズ」の「ジル」と結婚したんだよね」
お「あ、そうなんだ?付き合ってただけじゃないんだ?」
さ「うん。それでロフトでなんだ、その辺のARBとかさあ、そういう打ち上げみたいのでジルが外人と喋ってたらヤキモチ焼いちゃって包丁で刺しちゃったと」
お「そうなんだ?」
さ「朝日新聞にも出ててね。うちの母ちゃんが「アンタっ!アナーキー出てるわよっ!」って。「アンタがよく聴いてるやつ!」って・・・それが傷害って・・・」
お「それまではアナーキーってまだ良かったよねえ。そっから失速しちゃったよねえ」
お「それでもうレコード会社に「アナーキーっつう名前では出来ない」って言われて「THE ROCK BAND」っつう名前に変えてそのバンドでのファーストアルバムを「アナーキー」っていうタイトルにしたんだよねえ」
お「87年くらいかなあ?それが」
さ「うん。そんでマリはそんなギター巧くなかったから・・・」
お「伸一は巧かったんだよねえ」
さ「そうそう。超うめーよ。そんでねえ、94年に刑務所から出てきたマリも含めたオリジナルメンバーで再結成っつうのをやってるんだけどそれ、俺見に行ったんだよね」
お「ヘヘヘ」
さ「ひどかったよ、辺見君は。何かもうギターの音小っちゃくてさあ。そんで案の定もうすぐその後にマリとコバンはクビでさあ。そんで新しいドラム入れて「新生アナーキー」。シゲルと伸一と寺岡は現役でやってたから。マリは刑務所入ってて出てきてからは何とかってバンドやってたんだけど、コバンは電気屋でエアコンの付け替えとかやってて、だからもうダメなんだよ。現役の所に急に2人入ってもさあ。シゲルが「私生活の中でセッション出来なきゃダメなんだよ」っていってたよ」
お「・・・うん。でもさあ何か「早過ぎた」ってそんな感じしない?アナーキーってさあ。何かさあルースターズとかよりさあ、早すぎたって感じするじゃん。ルースターズとかって今いてもおかしくねえなって感じするけどさあ、アナーキーって今いてもどうしようもない感じしない?」
さ「・・・うん」
お「何でだろう?」
さ「難しいこと聞くねえ?」
お「そんな感じしない?・・・結構だからパンクの正しい在り方なんだよねえ」
さ「う〜ん」
お「そのさあ、1〜2年でしか有り得ないっていうさあ。・・・思い立ったときがピークみたいなさあ」
さ「ファーストが全タイトルの中でベストアルバムだからねえ」
お「そうそう」
さ「ここに全部詰め込まれちゃってるからねえ」
お「後で「ベストアルバム」とか出るけどさあ「これでいいや」っていうさあ」
さ「もう、シゲル自体が「俺のベストアルバム」って言ってたからねえ」
お「そうなんだ。「ノット・サティスファイド」なんか3分無いんだよねえ。「短い」っうのも結構衝撃じゃん」
さ「全曲・・・だから60分テープのA面に「アナーキー」が入っててB面に「'80維新」が入ってて両方30分無えんだよ。凄いんだよ。みんな2分前後だからねえ」
お「なんかその辺語られないよねえ。トリビュートとか出てんだっけ?」
さ「出てた。つまんなかった」
お「誰がやってたの」
さ「うんとねえ、三代目魚武とか・・・」
お「もうダメだ、その時点で。魚武何やってんの?」
さ「アカペラで「心の銃」かなんかやってたんじゃないの」
お「う〜さむ〜・・・でも魚武のアルバムにシゲルが参加してんだよなあ」
さ「どっちもブサイクだからねえ」
お「寺岡のあれなんでしょ。寺岡の家に集まってて、そのまま結成したっていうねえ」
さ「知らねえ」
お「そうよ。高校中退とかでみんな部屋に集まってて、そのまま・・・」
ここで薩本嫁登場
嫁「ビールでいいですか?」
さ「大根がすごい真面目なんだよ」
嫁「仕事みたいだねえ」
さ「仕事みたいなんだよ」
お「じゃあ、司会進行やってよ」
さ「もっとダラダラやろうよ。勝手にこう・・・録ってんだからさあ」
お「まあ、そりゃそうだけどさあ、沈黙になるとちょっとヤじゃん」
さ「いや、いいんじゃねえの。沈黙になりそうになると喋るんだよ。不自然なんだよ」
嫁「曲流せば良いんじゃないの?」
さ「小さい音でね」
お「うん」
さ「そうだね」
嫁「流れてた方がいいよ、きっと」
お「あー酔っぱらってきちゃった。最近食べてないからさあ、すっごい腹減るの。食べてないと安上がりで良いね」
嫁「全然食べないの?運動とかするの?」
お「膝・・・この間原宿でさあ、ものすごい転び方してさあ膝を打ったんだけど、あんな転び方小学校以来だよ」
さ「そういう時どうすんの?「いてえっ〜!」って?」
お「違う違う、車まで20m位だったからさあ、すかさず立ち上がって荷物拾って、周りの人はなんか「大丈夫?あの人」みたいに見てて「サッサッサッ」「カチャカチャ」「パッ」「あう〜っ!いってえ〜っ!いってえ〜っよっ!」って。
さ「俺はもうそういう時みんな見てんなあって思うとあえてその場で「いってえ〜・・・」ってなっちゃう」
嫁「強がらないで?」
さ「うん」
お「ホント痛かったよ。腫れちゃってさあ」
嫁「躓いたの?」
お「段差に躓いて、全体重かけて膝から落ちた。絶対ヒビとか入ってるなと思って次の日なったらあんま痛くなかった」
さ「でよお、ファーストはオリジナル半分位なんだよねえ」
お「そうそう」
さ「「ノット・サティスファイド」に「あぶらむし」でしょ。「シティーサーファー」「もうアウト」「ロックスター」に・・・あれ?結構あるな・・・カバーが多いんだよね?カバーが」
お「「ホワイト・ライオット」とかな」
さ「「ジョニー・B・グッド」に「東京・イズ・バーニング」もクラッシュだろ。「3・3・3」に「缶詰」もカバーなんだよね」
お「あ、そうなの?」
さ「うん。「アナーキー」もクラッシュだろ・・・こうやって喋れば良いんだよ、普通に」
お「「あぶらむし」なんてモロ族の歌だもんねえ」
さ「「はえ叩きをかざしてみよう」が「鉄パイプをかざしてあげる」になってたね、後期は」
お「そうなんだ」
さ「えーっとあとはねえ・・・「ノット・サティスファイド」は99年のトリビュートで自らカバーして「(1999 still )ノット・サティスファイド」つって「1999年 俺達はまだ満足してないぜっ!」っと歌ってたわけですよ」
お「ほお〜ん」
さ「そのバージョンとかかなりマッドに影響されてるんじゃないかと」
お「デジロックみたいの?」
さ「そうそう。新生アナーキーはデジロック」
お「マッドのボーカル、前から誰かに似てるなあと思ってたんだけどシゲルに似てるよなあ」
さ「うん。きっと仲良いんだよ」
お「そうかなあ〜・・・」
さ「「アイツらすげえよ、渋公とかやんねえとか言っちゃってやんねえんだよ」とか言っちゃって」
お「世代的にはたぶんマッドとか俺らと一緒くらいだから、たぶん・・・そういやライブハウスとかってやってねえんじゃねえかなあ、アナーキーって」
さ「いや、やってますよ」
お「最初の頃?」
さ「あー最初の頃はやってないかもねえ」
お「ホールに行くのが異様に早かったじゃん」
さ「コンテストで出てきたからねえ。シゲルが最優秀ボーカリスト賞とか取ったんだよね」
お「ヤマハ?」
さ「ヤマハ」
お「バンド自体も取ったの?」
さ「特別賞か何かじゃない。だから、シゲルは歌うまいっつうんじゃないんだけどさあ・・・なんか・・・良いよな」
お「スタイルがねえ」
さ「発声が良いよなあ。全部出してる感じが。「もうっ!いいやあ〜っ!」って感じが・・・「A吉B作かきわけ」って永ちゃんのこと言いたかったんだろうね・・・ほら、この・・・もう弾け過ぎよ。「ゴー!ジョニゴーッ!ゴーッ!」とかさあ。頭おかしいもん。今の現代にこんなレコーディングしてたら「はい、カット」ってさあ」
お「一発取りかなあこれ?」
さ「どうかなあ?一発なのかなあ?」
お「・・・(曲を聴きながら)ん、このギターソロ伸一?」
さ「うん。マリじゃ弾けないでしょう・・・っつうかそういうこと文章になっちゃよくないのかなあ?」
お「いや、しようぜ」
さ「じゃあ○○○の文句とかも言ってもいいのかなあ?・・・いや、今日よお「亜無亜危異 都市」でやるって大根が言ってたから「亜無亜危異 都市」のCDわざわざ今更買ったんだよ。したっけ「ごめんごめん「亜無亜危異 都市」じゃなくて「アナーキー」な」なんて急に大根が言うからさあ・・・で「亜無亜危異 都市」のライナーノーツ読んだんだけど○○○が書いてて読まなきゃよかったって思ったよ。ひどいんだよ、この間CSの「ライブ帝国」っていうの見てたら出ててさ、ルースターズ特集みたいのやっててさ・・・」
お「マジで?」
さ「うん、今やってんだよ、昔の映像とか」
お「「ファイティング'80's」とかあの辺の?」
さ「そうそう」
お「凄いね。録ってないの?」
さ「録ってない。でよおアイツさあ「今、池畑潤二は元ブランキーの浅井君と「ジュード」っていうバンドをやってます」なんて言っちゃってさあ。音楽評論家か解説か何か知らないけどそういうこと言っちゃまずいでしょうって思ってさあ」
お「凄い勉強不足だねえ」
さ「「JUDE(ユダ)」が出てすぐの頃だったら「ジュード」とも間違えるけどさあ、ついこの間よ」
お「・・・(曲を聴きながら)あっ、こういう所にしびれたんだよねえ」
さ「そうそう。もうそれだけで「すっげえー」ってさあ。音楽とかじゃなくてただ「すっげえー」って。銀蠅より「すっげえー」って。」
お「ちょうどほら日本国憲法とか習い始めた頃だったからねえ」
さ「・・・凄いこと言うなあ、大根も」
お「社会科でさあ習い始めてたからリアルタイムだったじゃん、そういう意味で。あ、これ「象徴」って言ってんだって。言っちゃいけないんだって」
さ「ファーストで2曲「ブー」が入ってるんだけどセカンドの「'80維新」でもホントは「タレントロボット」っていう曲が入るはずだったんだけど、「ブー」じゃ済まないから音源化を禁止されてるんだよね」
お「ほう。世に出てないんだ」
さ「いや、94年の再結成ライブで「東京・イズ・バーニング」とともに演奏して「アナーキLIVE1994」っていうインディーズからのアルバムに収録されてる」
お「どれ?詩、見せて・・・今聴くとそんな大したことないの?」
さ「うん。「バカが群がるタレントの世界」とかさ」
お「歌詞カード入ってねえじゃん」
さ「えっ?じゃあ無えんだよ」
お「無いの?」
さ「無いなら無い。最初から入ってない。で、もうこの2曲世に出してシゲルは「落とし前つけた」つって、アナーキー終わっちゃったんじゃないかな」
お「あ、これで終わりだったんだ?」
さ「いや、その後もやってんだけど・・・」
お「・・・(「アナーキーLIVE1994」のジャケットを見ながら)これだこれ!この作業着と腕章、これまだ持ってんの?」
さ「いや、もう無えと思うよ。こんな刺繍じゃなかったよ」
お「ああ、刺繍じゃなかったんだ?」
さ「もっとヘボかったよ・・・(「3・3・3」を聴きながら)「そんなに真面目に生きてもしょうがない」のかなあ・・・」
お「・・・俺さあ、兄貴から大体影響受けつつ来たんだけどさあ、当時の兄貴ですらもうアナーキーは幼稚な感じがしてたのか、兄貴からは聞いてないんだよ、アナーキーって。「ダセえよあんなの」とか言われてて」
さ「中学生が1番しびれるんじゃないの?」
お「そうそう、小6から中1くらいな」
嫁「でもさあ「アナーキー」ってどこで知るの?「銀蠅」とかは知ってたけど「アナーキー」なんて知らなかった」
さ「俺は友達から」
嫁「じゃあテレビとか出てないんだ」
さ「うん」
お「今より圧倒的に情報量が少なかったから・・・なんでだろうねえ」
さ「・・・大体知らないとき「アナーキー」とか言われても「何?」って、わかんないよねえ「アナーキー」って響きがさ」
お「俺すかさず辞書で調べたもん。「無政府主義」って」
さ「そうそうそう、俺も調べた。授業中とかそれ見てるだけで幸せだったもん。「そうかあ、無政府主義かあ」なんて。それがピストルズから来てるなんていうのは後から知って」
お「そうそう」
嫁「辞書とか調べるのが凄いよねえ」
さ「・・・お前司会やれよ」
お「そういう感じの方がいいかもねえ」
さ「詩の全体の内容とかどうでも良くって「てめえらなんか用は無え!」とかカッコ良くてさあ、授業中教科書とかに「てめえらなんか用は無え!」とか書いてね、それで幸せだった」
お「俺、兄貴にそう言われちゃったからすぐ冷めちゃったんだよねえ。「そっか、ダセえんだ」とかって。それで、そのあとのルースターズとかロッカーズとかその辺がすぐ来たじゃん。ARBとかさ。」
さ「ちょっとだけ早いんだよね、アナーキーが・・・そう思うと俺もそっち行ってんだけど・・・」
お「アナーキーは引きずってたんだ?」
さ「うん。何だろうなあ・・・アナーキーも後期は横ノリロックになっていくから」
お「うん」
さ「そういうのが好きっつうか・・・好きじゃねえけど・・・最後のアルバムなんて全然聴かないけど・・・」
お「だからアナーキーっつうのはさっきも言ったけど、ライブハウス時代があんまし無いからね。いきなり売れちゃったんだよね?結構ね。売れたっつってもたかが知れてるけど。いきなり久保講堂とかやってたもんな?」
さ「うん。コンテストで出て」
お「すぐレコードデビューっていうさ」
さ「しかしよく不良が楽器演奏出来たよなあと思って」
お「そうそう」
嫁「この間のビデオとか凄かったよね?」
さ「ああヒストリービデオね。君たちはキョンキョン取ったじゃないかよお。俺が「アナーキー見よう」つったらさあ」
お「えっ?そりゃあ今はそうだよ。当たり前じゃねえかよお」
さ「みんな「アナーキーよりキョンキョン」かよおって俺思ったんだよなあ」
嫁「でもそのあと見てたじゃん。変なさあキャラクターの・・・」
お「「哀愁学園」ね」
さ「見たなあ。キョンキョン終わったあとな・・・な?キョンキョンのドラマまんまし面白くなかっただろ?」
嫁「面白くなかったさあ。そのあと見てないもんね」
さ「えー、この「季節の外で」っつう曲は・・・」
お「「季節の中で」だろ?松山千春の」
さ「そうそう。それをバカにしたっつうか・・・カラオケでこの間「もうアウト」歌ってきました」
お「ええ?カラオケに入ってんの?」
さ「うん。しかも「もうアウト」が」
お「すごいねえ・・・」
さ「「心の銃」って本が出ててさあ」
お「あ、知ってる知ってる」
さ「実家に帰ればあると思うんだけど、そのあともう1冊「レベルラウザー」って本が出てて、どちらも六曜社だと思ったけど、それを読むとね、やっぱ伸一がすごい。伸一が仕切ってる感じがしたよなんか」
お「そうなの?へー」
さ「伸一が映画とかデ・ニーロとか好きでさあ、ストーンズとかさあ・・・」
お「ああ、伸一だったんだ。なんかさあアナーキーってそういうただの元暴走族って感じがしないところがあったじゃん」
さ「うん。後期のああいう感じも伸一が引っ張って行ったんじゃないかなあってさあ」
お「じゃあ伸一が「やろうぜ」って言ったのかなあ・・・」
さ「やっぱ今のアナーキーも伸一がコンピューターとかプログラミングしててさ」
お「そうなんだ。で、デジロックで」
さ「うん。シゲルも叱られるらしいよ。「シゲルはいつも歌ってるテンションが一緒だから」みたいに。一時期凄い仲悪かったみたいね」
お「どの辺で?」
さ「THE ROCK BANDの頃」
お「ああ、あの頃伸一色々やってなかったっけ?泉谷のバックとかさ」
さ「やってたね」
お「しかしシゲルは一貫してデブだよなあ。デブで撫で肩なんだよ」
さ「今モヒカンなんだよね」
お「また?」
さ「うん。で、寺岡はハゲちゃったからさあ、ツルツルでさあ・・・凄いよ、その絵は。モヒカンとツルツルのおっさんでさあ・・・。しかしさあ、詩とかさあ恥ずかしいと思うんだよ。けどさあ、シゲルが歌うと恥ずかしくないんだよね。何で恥ずかしくないかって本気でそう思ってたからなんだろうねえ」
お「17〜8くらいか・・・凄いよねえ」
嫁「1回も社会人になってないの?」
お「なってないね」
嫁「食べていけるんだそれで。なんか田舎行って・・・」
さ「おう、上九一色村。シゲル上九一色村に住んでたんだよ」
お「え?そうなの?」
さ「なんか陶芸の人の弟子入りみたいにしてさ、上九一色村に放置してある使わない電車の車両に住んでたんだよ」
お「もう、誰もが憧れる倉庫に住むみたいな・・・」
さ「40歳くらいになってな。何かそれでテレビ出てたよ」
お「しかし「団地のオバサン」とかってキーワードだよなあ」
さ「キーワードだね。最初だからね。今の奴がこういうのやってもマネになっちゃうもんね。最初にやってるからね・・・」
嫁「これ終わった後に「あっ、あれ言っとけば良かった。あっ、あれ言うの忘れた」とか言うんだよね」
さ「「団地のオバサン」はみんなで和光の団地かなんかに住んでてさ、ゴミ出しとかさあ・・・」
お「ちょっとそういう東京都心から離れたさ、そういう感じが伝わってきたのかなあ。俺らもそういう似た生活背景みたいなさあ・・・」
さ「ヤンキー多いところだったからねえ。津田沼も」
お「だってこのまんまだったもん。3つ上とか」
さ「誰々先輩が鑑別所入ったとかな」
お「そうそう・・・しかし服に金かかってないよなあ・・・まだ40過ぎとかなんだよなあ、デビュー早いからさあ。もっと年取っててもいい感じするのにさあ」
嫁「10歳くらい上なの?」
お「60年生まれだから、8コ。結構、シゲルとかは内田裕也とかにも可愛がられてたよね。ニューイヤーロックフェスティバル出てたもんね」
さ「裕也は「アナーキーはスゲえよ」って言ってたよ」
お「内田裕也が言うんなら間違いねえな」
さ「日本ロック界の至宝くらい言ってたよ」
お「いつ?」
さ「何年か前のニューイヤーかなんかで。・・・俺、ロフトにアナーキー見に行ったことあるんだよね。もうTHE ROCK BANDの頃かなあ。ちょうどその日昭和天皇が死んじゃって中止になったんだよね。その瞬間「アナーキー」も終わったんだなって思ったんだよ」
お「良い話だねえ」
さ「天皇の歌を歌ってたのにさあ、死んじゃってライブが中止になるっつうことはさあ・・・」
お「それは自分の意志だったの?」
さ「じゃないんだろうけどさあ・・・」
お「それでも「やんない」っていうのがね?」
さ「うん。象徴的な話でね」
お「○○○も言ってたけど、俺先にアナーキー聴いてるからさ、クラッシュ聴いて・・・」
さ「そうそうそう」
お「「クラッシュ、アナーキーパクってんよ」みたいなさ」
嫁「逆なんだ?」
お「そうそう、全然逆」
嫁「GLAYとBOOWYみたいだ」
さ「そういえばアナーキーファーストの楽譜あるよ。俺のはコピーだけど。友達がバンドスコア持ってるんだよ」
お「凄いね」
さ「凄いよ。レコードが発禁で無いのにそのバンドスコア持ってるっていうのはスゲえなあと思って」
お「レコード再発されてないんだ。それは知らなかったなあ」
さ「だから俺が中学の時、買おうとしたときにはもう発禁でそれから1度も」
お「そういう右翼団体からとかのプレッシャーだったのかなあ」
さ「そう思うよ。ライブの時、街宣車が来てたっていうからねえ」
嫁「怖いねえ」
さ「そこで「東京・イズ・バーニング」を歌うシゲルはカッコ良かっただろうねえ」
お「見てねえけどな。お前はサッカーばっかしやってたからな」
さ「うん・・・あのさあ、詩の中のワンフレーズを自分の人生に当てはめたりしてたんだけどね、僕の場合」
お「今でもな」
さ「うん、今でも。そのワンフレーズがアナーキーファーストの中には多いやと」
嫁「そうなんだあ・・・」
お「例えば?」
さ「えーとね・・・「先のことばかり考えてこれ以上、無駄な時間を過ごすのはよそうぜ」ああ・・・その通りだよ」
お「ああ・・・」
さ「そういうふうにして生きてきたからねえ」
お「ああ・・・」
さ「何か壁にぶち当たると、そういえばああいうワンフレーズがあったから大丈夫だと」
嫁「凄いねえ・・・」
お「凄いねえ・・・」
嫁「いい・・・なんつうんだろ・・・逃げ道だね。あっ!違うや・・・」
お「言っちゃった」
嫁「言っちゃった」
お「現実逃避だ」
さ「・・・最近、そのワンフレーズが少なくてさあ、日本のロックに」
嫁「それで楽になったら楽だよねえ。それで救われるなんて楽じゃん」
さ「うん・・・だからさあ、そういうふうに「掃除ばっかしてたらロックじゃないぜ」みたいなさあ」
お「店のね」
さ「うん、そうそう。そういうワンフレーズが降りてこねえかなあと思ってるんだけどね。だからって今、アナーキーファーストを聴いても何も降りてこないんだけどね。消化してっから」
嫁「全然出してないの?新しいの」
お「出してるよね」
さ「出してるよ」
嫁「買わないよね」
さ「買ってるよ、全部。店に行くとあるよ」
嫁「ああ・・・そうなんだ。凄いね・・・」
さ「1回聴いて終わっちゃうなあ・・・けど同じカラーが「KENZI」に来てるんじゃないかなあ」
お「いやいや、同じカラーじゃないよ」
さ「わかってないなあ大根君も」
お「違うと思うんだよなあ」
さ「KENZIなんてデビュー前、アナーキーのカバーとかやっててさあ」
お「それは知ってるよ」
さ「KENZIの詩とかも読むと恥ずかしいじゃん。でもKENZIが歌うと恥ずかしくないっていうさあ」
お「ああ、持ってっちゃうっていう感じね」
さ「うん。その辺が似てるかなあと。シゲルと」
お「けどさあ、今のラッパーとかそういうの歌うけど、全然違うよなあ」
さ「違うよ。簡単に言うと魂が入ってないっていうことだよ・・・簡単すぎんなあ」
お「あーでもさあ、この間ピーズのライブの時にさあ、つなぎのDJタイムみたいので「ノット・サティスファイド」流れたけどさあ、まあ今聴いても全然ずれてないなあって感じしたんだけどさあ」
さ「うん」
お「アナーキーだと全然思わなかったの。「あ、これ誰がやってるんだろう」って思って「誰」って聞いたよね。「これ誰」って」
さ「そういう意味じゃハルもアナーキーの影響受けてるんだろうねえ」
お「ああ」
さ「千葉の不良だしさ。初期のライブでは上半身裸で「亜無亜危異」の「亜」の字を胸にマジックで書いてライブやってたぜ」
お「それ「亜無亜危異」の「亜」なのかなあ?」
さ「うん。間違いねえ。あれだよ「バカになったのに」はさあアナーキー聴いてバカになっちゃったんだよ」
お「ああ・・・」
嫁「凄い思い込みだねえ。「違うよ」って言ってるかもよ」
お「一方的な分析だねえ」
さ「いやいや。ピーズのファーストアルバムの歌詞カードには1曲ごとにイラストが入ってるんだけどさあ「バカになったのに」のイラストはさあ、変なサングラスにパンチパーマの人がうた歌ってるイラストでさあ、そこに「Tokyo's Barning」ってさ歌ってるのよ」
お「ああ、シゲルだ」
さ「うん。それ見ればもう「ああ、ハルもアナーキー通ってるんだ」ってさあ」
嫁「凄いねえ。そうやって自分でさあ解読していくんだよねえ。「ハルはこうなんじゃないかな」とかさあ」
さ「いや、本当なんだよ」
嫁「「それでこういう歌詞なんだよ」とかさあ。「違うかも知れない」とか思わないの?」
さ「うん」
お「それはさあ、考古学者が遺跡とか発掘して「昔の人はこうして暮らしていたに違いない」みたいなことと一緒なんだよね」
さ「その通り」
嫁「なんかさあ、でも真実はわかんないじゃん」
お「違う違う、それは確信なんだよな?」
さ「確信」
お「ロック考古学者としてな?」
さ「だって「Tokyo's Barning」って書いてあったらさあ、もう・・・」
嫁「たまたま書きたかっただけかもよ」
さ「イラストはハルが書いてるわけじゃないんだけどさあ・・・」
嫁「疑いが無いって凄いねえ」
お「そこは結びついちゃうんだよな?ロック考古学者として」
さ「うん。「来た来た!このラインとこのラインが」って。何がハルをバカにさせたのか?「Tokyo's Barning」を見た時「ああ、ここだったのか」と」
お「彼が育った環境とかとバッチリ結びついちゃってな」
さ「そうそう」
嫁「でもさあ、たまたまゴロが良くてそう歌っただけでさあ・・・そういうのもあるかも知れないじゃん。そう考えないの?」
お「考えないんじゃない」
さ「でも、それはその人から出てきた言葉だからねえ」
嫁「そうに違いないんだ?」
さ「・・・その人の人間性とか見てればさあ・・・わかるよ」
お「この間ハルと話したもんな?」
さ「うん。俺がもう「サインなるべく小さく」って思ってたんだけど、つい「サイン大きく」っつったら小さくサインしてくれたもん」
お「あれがファーストコンタクトだったの?」
さ「えーっと・・・前、三茶かどっかでライブあった時、始まる前とかライブハウスの上のコンビニで普通にビールとか買ってるんだよね。周りの人も別に「キャーハルー」とかじゃなくて「あ、ハルがビール買ってる」くらいでさあ。あまりにも普通なんだよね。そん時はアビさんとは喋ったんだけど、ハルは初めてだったなあ・・・ピーズの話になってるんだけど・・・」
お「アナーキーの話にしよう」
さ「だから、アナーキーのライブを初めて見たのは、その1994再結成ライブが初めて。「ON AIR」で。友達のチケットも取ってたんだけどさあ、来なくてさあ、ダフ屋に「いくらなの」って聞いたら「2万で買うよ」なんてさあ。そのライブがこのCDになってるんだけどね」
お「そうなんだ」
さ「うん。しびれたよ。1曲目「東京・イズ・バーニング」なんだけどさ、始まる前ステージ白い幕で仕切られててさあ、それでメンバー出てきて、でも白い幕の向こうにシルエットしか見えないの。で、シゲルが「東京・イズ・バーニング」って叫んだ瞬間、幕が「バサッ」って落ちるっていうさあ。しびれたよ」
嫁「演出だ」
さ「うん。演出」
お「自分の曲でもねえのになあ」
さ「その再結成前に結構「再結成しろ」みたいな声があったんだけど、シゲルはやんなくて、そんでそんな声もなくなった頃再結成したらあんま金になんなかったみたいで「ああ、もうちょっと前にやってりゃよかった」って言ってたよ・・・大根飽きてるでしょ?」
お「うん。アナーキーについて語ることがあまりにも無さ過ぎる事に気づいて・・・失敗。だってちゃんと聴いたの2週間くらいしかないんだもん・・・でさあ、そのシンヤ先輩っていうのがコーラ飲むのがスゲー早くてさあ、当時500mlっていうのがあったじゃん?」
さ「うん」
お「瓶の。で、2秒くらいで飲んじゃうんだよ。「スゲーよ」とか言ってたよ・・・」
さ「・・・で、第2回はどうすんだよ?」
お「いや、もうちょっと語ろうよ。のちに「オデッセイソング」と呼ばれるさあ「LIVE オデッセイ」っていう知る人ぞ知る名作マンガ・・・」
さ「じゃあ「Ready Steady Go」かけようよ。あっ!言いたいことがあったんだ。「Ready Steady Go」に関しては・・・」
お「でも俺この曲が一番好きかも知んねえ。これはいつ聴いたか忘れちゃったけど、すげーしびれたなあ」
さ「「Hey!ブービージョー」だろ?」
お「そうそう」
さ「あれ?これ「アナーキー・ミュージック」じゃねえか。あ、でもここから聴こうぜ。「アナーキー・ミュージック」もちょっと異彩を放ってるから」
お「だから結構クラッシュと似てるんだよなあ」
さ「うん」
お「最初ものすごい早いパンクロックでさあ、あとでレゲエとかやってさあ、クラッシュと似てんだよなあ」
さ「真似してんじゃねえか」
お「う〜ん」
さ「メンバー紹介なんだよ、この曲」
お「「よぉーこそ」だ」
さ「「よぉーこそ」なんだよな。・・・でも4枚目のアルバムでまだ「寺岡がベースを弾くぜ〜」なんて歌っちゃうのはまだ純粋なんだろうねえ。「コバンがドラムを叩くぜ〜」なんてさ」
お「これたぶん21くらいだろ?まだそんなもんだよ」
さ「3rdまで1年半で出だしてるんだよね」
お「それは凄いよなあ。契約だったのかなあ」
さ「つうかアルバムが30分以下っていうのが問題だよ。その時元春の「No Damage」が46分テープに入んなくてよお。そっちも問題だったよ。そん時54分テープっていうのがあるの初めて知ったよ・・・。大抵ほら、あれ、ファースト、セカンド、サードってあってさあ・・・」
お「ああ、俺が掲げる「ロックバンド、サードアルバム限界」説な」
さ「うん。そう。それ。それでアナーキーはさあ、いわゆるファースト、セカンドって勢いで来てさあ。初期衝動で来てさあ。サードでちょっとDUBとか取り入れて・・・」
お「うん。ちょっと違った事やりたくなってね」
さ「うん。まあ、変わった事はやってんだけどさ・・・まあサードまでで完成みたいなさあ・・・」
お「うん」
さ「それで4枚目って勝負じゃん。エレカシは「生活」に行ってさあ」
お「うん」
さ「MODSは「HANDS UP」か」
お「うん」
さ「ルースターズは「DIS」か、ちょっと違うけど」
お「うん」
さ「そんでアナーキーはさ、「Ready Steady Go」で」
お「いや、俺凄い好きよ。あえて「ノット・サティスファイド」をやろうっていうね」
さ「その通り!その通りなんだよ。もう1回もってきてるんだよ、こっちに。もちろん「Hey!ブービージョー」みたいな曲も持ってきてるんだけど、凄いよなあと思ってさあ。まだ「平和の裏側」みたいな政治的な歌も歌ってるんだよ」
お「そうそう」
さ「野澤がすぐ歌うんだよこれ。酔っぱらうとさ」
お「何を?」
さ「「Hey!ブービージョー」。あとCOBRAの「Oi Tonight」」
お「だからこれも後なんだよ。この歌を先に知っててその2年後くらいに「LIVE オデッセイ」を読んで「あ、これ歌ってたんだ」ってさ、変な感じなんだよね」
さ「THE ROCK BANDで「ボーダー」も歌ってるぜ」
お「あ、そうなんだ」
さ「こう、レゲエやんのはきっとクラッシュの影響だよね?」
お「そうそう。完全そうですよ。クラッシュはラップまでやってたからねえ。すんげー早いんだよ。完全クラッシュですよ」
さ「今、宮本が歌い方ちょっとラップじゃないけどそんな歌い方したりしてね」
嫁「○○○も・・・ちょっと聴いてよ」
さ「いや聴いてないんだけど、考えただけで頭おかしくなりそうになって」
お「今のドラマのやつ?」
嫁「いや、わかんないけどラジオでやってて・・・」
さ「凄いらしいんだよ」
嫁「最初はなんか外人みたいの入ってて、それで歌で○○○が絡んで来るんだけど、ズッコケたもん職場で」
さ「あの野郎なめ過ぎだよなあ」
お「音楽を?」
さ「音楽を。俳優やってりゃいいのにな・・・こういうのカットだろ?」
お「いや「ブー」って」
さ「なるほど。アナーキースタイルだな?」
お「おう!そこがアナーキースタイルよ。レベルは低いけど・・・けど「Ready Steady Go」って曲は凄いショックだったよ。マッドテイスト入ってるもんなあ、確かに」
さ「うん」
お「「1・2・3・4 レッツゴーカモン」とかその辺だよなあ」」
さ「再結成ライブでもファースト、セカンドの曲をガンガンやって、中盤「Ready Steady Go」からまた始めるっていうさあ・・・。MCなんて殆ど無かったんだけど1回だけ「心の銃」やる前にシゲルが自分の胸さして「持ってる?」って。しびれたね」
嫁「よくやるもんね、今でも」
さ「友達の松本君は中学の卒業アルバムの作文が「心の銃」でただ「心の銃」の詩が書いてあるっていう・・・。アナーキーは1曲目が似合う歌がいっぱいあるよね?「叫んでやるぜ」とかさ」
お「それは綺麗な言い方すれば「Ready Steady Go」みたいなさ「ヨーイドン!」みたいなさ、それがこの中学生のさあ、世に出る前のモヤモヤした感じをね、代弁してくれてる感じがしたんだろうねえ」
嫁「巧いねえ」
お「そういうこと言えちゃうのが嫌なんだけどさあ。でもたぶんそういう感じじゃないかな。凄い未熟じゃん。ファーストなんて未熟の固まりじゃん」
さ「でもこういうのをもう1回作れないんだよね。絶対にね」
お「そうそう」
さ「「THE BLUE HEARTS」しかりね。絶対作れないんだよ。つうことはファーストがダメっつうことはダメなんじゃねえか?」
お「でもARBファーストダメじゃん」
さ「そりゃそうだ。でもMODSもルースターズもファースト良いよな」
お「ロッカーズもな」
さ「いや、俺、ロッカーズはサードなんだよなあ」
お「あ、そう」
さ「うん。「シェイキン」・・・。シゲルってヤンキー声だよな」
嫁「うん。ヤンキー声」
さ「・・・マリがさあ、刺して居なくなったっていうのもある意味必然だったっていう気はするよね。もうギターは伸一だけで十分だったんじゃないかな。初期の頃、目立って色々フロントに立ってたけど、だんだん大人になってきて「あれはちょっと恥ずかしかったなあ」って年頃になったきた時、自分の位置づけっていうのがさあ音楽的にはもう要らない位置みたいなさあ」
お「シド・ビシャスだな。ちょっと違うけど」
さ「それで俺のバンドも解散したしな」
お「そこはあまり重ねなくていいんじゃないかな・・・」
さ「俺要らねえって・・・」
お「・・・しかし伸一、完全にヤクザファッションだもんなあ。ヤバイよなあ、これ」
さ「だからさあ、知らないよなあ、初期の「アナーキー」っつったらマリのイメージが強いもんなあ」
お「マリとシゲルじゃないの」
さ「うん。それでさあ、知ってみると伸一とかギター巧くてさあって」
お「だいたいさあ、シゲルなんて鼻の下にヒゲを生やすっていうことがさあ、おかしいよなあ」
さ「あ、この「Ready Steady Go」のジャケットのスタイルを「THE BLUE HEARTS」が頂いたんだな。スプレーで字が書けるっていう。よし、店の車に書いちゃおう。今、ステッカーをどんどん張り始めてるんだけどさ」
お「まあでもデビューした時の佇まいとしてすごい正しいのはさ、パンクバンドとしてさ、ピストルズとかクラッシュとか出てきたそのイギリスの背景っていうのはさ、社会的な閉塞感みたいのがあった訳よ。サッチャーの無理矢理な政治のあれで失業率10何パーセントみたいなさあ。で、若者にいたってはもう良い家に生まれなければなんにもやることが無いっていう、イギリスなんか日本よりすごい階級社会だからさ、労働者の家に生まれたらもう何にもやることが無いっていう中で出てきたのがピストルズでさ、アナーキーが暴走族っていうのはすごい正しい在り方なんだよね。そういう意味では。まさに社会の「ダニ」みたいな。今はそういう感じがしないもんねえ。ラッパーとかさあ。ちょっと違うよなあ?」
さ「違うよ・・・わかんねえよなあ。わかんねえんだよなあ、俺ラッパーとかって」
お「ただ「こうでもしてなくちゃやってらんねえ」っていう感じがファーストには漂ってるよね。「何かわかんねえけどさあ」っていう」
さ「ピストルズとクラッシュ選ぶところがセンスいいよ。銀蠅とかセンスねえよ」
嫁「センス無い不良とかが好きそうだもんねえ」
さ「じゃあアナーキーはセンスある不良なのか?」
お「何だろうねえ。頭悪いじゃん、圧倒的に。アナーキーって。頭良いっていうと何か誉め言葉みたいな感じするけどさあ、全然違くてさあ・・・だから世渡り巧いっていう・・・国鉄の作業着だもんなあ」
さ「「亜無亜危異 都市」のジャケットじゃみんなこんなカッコしてるしさあ。これ見たとき俺ちょっとがっかりしたもん。全然パンクじゃねえよこれって。だからもうカッコじゃなくて良かったんだろうね、もうね」
お「だからもう象徴してるんじゃないの?バラバラになってきたっていうさあ。ファーストの時は全員国鉄の作業着っていうさあ。全員同じ事考えてたんじゃないの?」
さ「まだ、そんなバラバラにはなってないと思うけど、もう国鉄の作業着着る意味がないっていうかさ、もうちょっと音楽的になったんじゃないの。銀蠅とかが嫌だったんじゃないの?」
お「宇崎竜童がサングラスはずしたのは銀蠅が出てきたからなんだよ」
さ「そうなんだ」
嫁「被っちゃうもんねえ」
さ「銀蠅なんてこの間「湘南銀蠅」とかいってやってたぜ。全員サーファールックで」
お「ひでえ」
さ「絶対やんないじゃん。アナーキーは。シゲルは。その確かさだよなあ」
嫁「でも銀蠅でキュンとくる歌とかあるんだよ」
さ「作詞・作曲・編曲:アナーキーになってるんだけどきっと作詞はシゲルで作曲は伸一なんじゃないかなあ」
お「そうしたかったんだろうねえ・・・結局さ「SEX・DRUG・ROCK'N ROLL」ってあるじゃん。アナーキーの場合その「DRUG」が「シンナー」だったっていうさあ。シンナー臭いバンドだったよねえ。じゃあ次はエレカシで。「エレカシ2」な」